
瀬戸内海は、本州と四国に挟まれた日本最大の内海。1000年以上前から日本と海外をつなぐ「海の道」として発展してきました。古くは中国や朝鮮半島から新しい技術や文化をもたらし、日本を世界に紹介したマルコ・ポーロも、旅行王のトーマス・クックも、みんなはるばるこの海を通って日本にやってきたのです。
しかし「瀬戸内海」と呼ばれるようになったのは、わずか100年ほど前。その名付け親は、じつはこの海外の旅人たちでした。それまで日本には、瀬戸内海全体を一つの海として捉える概念がなく、海外からやってきた旅人たちが母国に伝えた“Inland sea“の訳語が「瀬戸内海」に。ちなみに“瀬戸“とは“狭くくびれた“海のこと。東西に細長い海に700以上の島が点在し、複雑な潮流を生む。それが瀬戸内海独特の景観美と、多様な生活文化を生み出しているんですね。瀬戸内海の本当の姿は、かつての旅人のように、海から眺めてはじめてわかるのです。